「仕方ないよ。何てったって私達嬉し恥ずかしの思春期だもの。」
明るく言い切られても…杏華ちゃん、全然フォローになってない。
「あの状況で何にも反応しなかったら、逆にただの憧れだからって希実をとめられたのにって思ってるよ。」
…へ?
今更だけど杏華ちゃん、本当のところ反対なの?
ビックリして固まった私に、杏華ちゃんは大人みたいな苦笑いで眼をそらした。
「だって…諸手を挙げて賛成なんかできないよ。もし万が一想いが叶っても、卒業するまで秘密なんだよ?誰にも言えないって誰にも卒業まで祝福されないってことだよ。それにこれだけ年の差や立場の違いがあったら、想いだけじゃ乗り越えられないものが多すぎる。」
そう言った杏華ちゃんの表情はとても痛そうで、私が勝手に浮かれたり沈んだりした時にも随分と心配をかけていたんだってことに今更ながら気がついた。

