先生のお望みのまま


校舎に入って見慣れた廊下を進むうちにさっきの緊張が解れてきた…ら、耳元に直接響く鼓動に、急にゴクセンとの近すぎる距離を意識した。



カァッと顔が熱くなり、目を閉じてギュッと体に力が入る。




すると、それを感じたのかゴクセンは低く小さな声で

「保健室まで運ぶだけだから。」




自分の浅はかな気持ちに気づかれ呆れられた気がして、息が止まった。




「……ご、…ごめ…ん」


泣いちゃいけない。これ以上迷惑をかけちゃいけない。



我慢しなくちゃと思えば思うほど涙腺は緩みそうになり、両手で顔を隠した。怖くて、先生の顔が見れない。