いつかの花火【企】





咲夜がいない6日目。
花火大会。

…すっかり忘れてた。



会社のオフィスで大きな音が響いた。
最初は天気も悪かったし、雷かと思ったけど…。

今日は、このあたりで一番大きな花火大会。
会社の窓からも花火が見える。



昔、大好きだった人と見に行った花火大会。



……。

どうしてこんなこと今更思い出すのかしら…。



切ない花火。
夜空に散る大きな光の花。



フラれたのは花火大会の終わり頃。

誰もが喜ぶ、最後の大きな花火。
打ち上がった瞬間…。


「ごめん。別れよう。」

「え……?」

「ごめん。」


何も言えなかった。
花火がうるさかった。



指輪を投げつけた。
もらった指輪。
一緒にいるはずの約束。

それが精一杯。

拾ってくれると思った。
行かないと思った。



……でも違った。



行ってしまった。
家の前。
一人きり。
落ちている指輪に花火が映って消えるのを見た。