スタッカート

「雪乃」


なかなか手を差し出さない私をお父様が急かした。


おずおずと右手を出す。


「やだなぁ。左手だよ」


と、御曹司がテーブルの上に置いていた私の左手を引っ張る。


ゆっくりと薬指に指輪が近づいてくる。