スタッカート

「いや、だから機材って…」


「見て分からない?今の俺はストリートミュージシャン」


「アンタこんなこともやってんの?」


音につられて一人、また一人と人が大地の前で立ち止まる。


「御嬢、楽器出せ」


「え?」


「いいから、息入れとけ」


ある程度の人数が集まったところで、大地が勢いのあるジャズを叩き出す。


客を掴むのが上手い。


訳も分からないまま、私は楽器をケースから出した。