脱出ポットが移動できる距離なんて限られている。


 冷静に、太陽と時刻を照らし合わせれば、自分がどこから来て、どこに進めばいいかぐらい簡単に見当がつく。


 科学省に勤めていて、その程度の計算もできないようでは仕事にならない。


 だけど・・・・・・。


「そんな・・・・・・・・。」


 キリトは戦場に戻るや否や、まるでこの世の最後を見たかのような言葉を口にする。


 あたり一面に広がる残骸の数・・・。


 だけど、冷静に見てみると、それらは小さな部品や、引取りどころが分からない真っ黒な死体だけだ・・・。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・戦場だったところは、見事に片付けられていた。


「そんな・・・」


 もう一度、口にしたところで状況は変わらない。


 回収部隊ではない。


『ゴミ拾い』・・・・・・・・。


 彼らが来たのだ。


 回収部隊よりも早く、戦場のゴミを拾って売りさばく、スラム住民たち・・・。


 そんな連中が、新兵器同士がやりあった場所をほうっておくわけがない。


 おそらく、百合は・・・・もう・・・。