百合が目を覚ますと、そこには一面の青空が広がっていた。


 天国ではない・・・・。


 ましてや地獄でもない・・・。


 カメラをそらすと、先ほどまで戦っていたはずの、漆黒のギアの残骸を見ることができた。


 間違いなく、ここはあの時いた戦場だった・・・。


『また・・・死ねなかったの・・・』


 残骸の横に横たわりながら、そんな言葉しか出なかった・・・。


 足を動かそうにも、足がない・・・。


 腕を動かそうにも、腕がない・・・。


 頭を動かそうにも、頭がない・・・。


 横たわる、漆黒の機体・・・ポセイドンというロゴを見つけた・・・そいつの自爆に巻き込まれて、腕と、足と頭を持っていかれたのだ・・・。


 それでもしっかりと『身体』だけは残っていて、意識もはっきりと残っている。


 まるで、生きる屍・・・いや・・・『残骸』というべきだろう・・・。


 自分はこのまま、戦場跡になったこの地に横たわり、吹き荒れる風にさらされ、やがてさびて朽ちていくのだ・・・。



 でも・・・


 ・・・それは・・・・・


 ・・・・どう考えても・・・・



 ・・・・・・・人間の死に方ではない・・・・。