【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ


「馬鹿馬鹿しいな・・・。」


 そこまで思考をめぐらせて思わず口に出た。


『うん?』


 うまく聞き取れなかったのか、聞き返す百合。


「いや・・・馬鹿馬鹿しいってな・・・。」


『また、すぐにそういうコト言う・・・キリトの悪い癖だよ』


「いや、でも馬鹿馬鹿しいだろう?こんなこと・・・。」


 人を機械に変え、戦わせる。


 もはや・・・そんなもの・・・・戦争ではない・・・・・・・・。


『だけど、そのおかげで私はこうしてキリトと会話ができる。』


 それは本当に嬉しそうな声。


 あの頃の純粋で穢れを知らない百合を思い出させる声だった。


「・・・・・・・死にたいんじゃなかったのか?」


『それと、これとは話が別だよ。』


「そうか・・・・・・・・・女心は難しいな・・・。」


 心から出た言葉。


『男が理解しようというほうが無理なのです。』


 口にしてクスクスと笑う百合。


 いや、お前の心は同性だって理解しろというほうが無理だろう・・・。


 死にたいと言ったり・・・一緒にいたいと言ったり・・・。


 統一感がないのは、昔からだな・・・。


 まったく・・・。


「それじゃあ、俺、そろそろ時間だから行くわ。」


 ため息と共に、キリトは椅子から立ち上がる。


 電源を落とそうと思ったが、それぐらいは彼女自身でもできるので、やめた。


 非人道的科学は時代の性・・・。


 俺も、戦争が終わったら、A級戦犯として裁かれるのだろうか・・・。