【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ


『なのにさ、せっかく死んだ!・・・って思ったら、案の定こんな姿になちゃって・・・目が見えないことも、動けないこともそれほど苦じゃないけど・・・それでも・・・』


 ・・・・・・・・・・・それでも・・・・・・・・。


『・・・・・・・・・こんな姿になってしまったら、私は死んでいるのか生きているのか分からない・・・・。』


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 どうやって、返事をして良いのか分からなかった。


 人工知能・・・・。


 人の意識・・・いや、人間の脳そのものをコンピュータに変えてしまう、戦争が生み出した、最大級ともいえる狂気・・・。


 死者を、死者と扱わず、戦えるものは永久に戦わせようという・・・想像に絶する科学・・・。
 

 それに、百合が選ばれた。


 理由は・・・・彼女に身寄りがなかったから・・・。


 彼女に、戦闘の才能があったから・・・・。


 彼女の脳が・・・・・・・・完全体で残っていたから・・・・・・・。


 もちろん、人工知能となったのは、彼女だけではない・・・。


 最初の実験体には、自分や百合と同じ孤児院出身の二個上の先輩、『鈴蘭(男性)』が選ばれた。


 実験に告ぐ、実験により、先輩には『身体』が与えられ、先輩は戦場に送られていった。


 ・・・・・・・・しかし、そこで事件が起きた。


 先輩の初出撃の間際・・・先輩のいる基地が敵に襲われたのだ。


 具体的な内容はキリトにまでは届いてないが、そのとき、何かしらのイレギュラーが起こり、先輩は大暴走を始めてしまったのだ。


 それにより、先輩がいた紫卯基地は壊滅。


 それから先の情報はキリトには届いていない・・・。


 だが、結局その事件をきっかけに、人工知能をギアに移植する・・・通称『人工知能ギア化』計画が、だいぶ遅れをとってしまったことは確かである。


 もし、その事件が起きなければ、今頃は百合にも『身体』が与えられ・・・・。