『なのにさ、せっかく死んだ!・・・って思ったら、案の定こんな姿になちゃって・・・目が見えないことも、動けないこともそれほど苦じゃないけど・・・それでも・・・』
・・・・・・・・・・・それでも・・・・・・・・。
『・・・・・・・・・こんな姿になってしまったら、私は死んでいるのか生きているのか分からない・・・・。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
どうやって、返事をして良いのか分からなかった。
人工知能・・・・。
人の意識・・・いや、人間の脳そのものをコンピュータに変えてしまう、戦争が生み出した、最大級ともいえる狂気・・・。
死者を、死者と扱わず、戦えるものは永久に戦わせようという・・・想像に絶する科学・・・。
それに、百合が選ばれた。
理由は・・・・彼女に身寄りがなかったから・・・。
彼女に、戦闘の才能があったから・・・・。
彼女の脳が・・・・・・・・完全体で残っていたから・・・・・・・。
もちろん、人工知能となったのは、彼女だけではない・・・。
最初の実験体には、自分や百合と同じ孤児院出身の二個上の先輩、『鈴蘭(男性)』が選ばれた。
実験に告ぐ、実験により、先輩には『身体』が与えられ、先輩は戦場に送られていった。
・・・・・・・・しかし、そこで事件が起きた。
先輩の初出撃の間際・・・先輩のいる基地が敵に襲われたのだ。
具体的な内容はキリトにまでは届いてないが、そのとき、何かしらのイレギュラーが起こり、先輩は大暴走を始めてしまったのだ。
それにより、先輩がいた紫卯基地は壊滅。
それから先の情報はキリトには届いていない・・・。
だが、結局その事件をきっかけに、人工知能をギアに移植する・・・通称『人工知能ギア化』計画が、だいぶ遅れをとってしまったことは確かである。
もし、その事件が起きなければ、今頃は百合にも『身体』が与えられ・・・・。


