キリトは夢を見る。


 三年前・・・。


 百合とキリトが最後に過ごしたクリスマスの夢だった・・・。


「あ・・・そういえば、お前誕生日なんだっけ?」


 もう外にいるには肌寒いという季節。


 相変わらず俺と百合のたまり場は、射撃場の裏。


 湿気とコケが漂う、薄暗い場所だった。


「覚えていたんだ・・・。」


 嬉しそうな、百合の声。


 何となく口にしただけなのに、そんな表情をされると、まさか昨日まで忘れてましたとは言いにくい・・・。


「まぁ、だからといって、何か用意しているわけじゃないけどな・・・。」


 とりあえず、先手を打っておいた。


 万が一プレゼントをせがまれても、用意なんてしていないからだ。