「くそっ!機体が大きすぎるんだ!」


 コックピットの中で毒づくが、そんなことを今さら嘆いても仕方がない。


 半年前、虎神が作った悪魔・・・弁財天・・・。


 いかなる兵器をもろともせず、ありとあらゆる武器をもはじいた、まさに悪魔ともいうべき破壊神・・・。


 そんな弁財天の最後は、たった一機の黄土色のギア・ドールによって破壊され、終わったという。


 舞鶴の頭に、そんな作り話のような逸話がよぎるが、今、相手をしているギアは黄土色ではない。


 ならば、勝機はあるはずだ!


「これなら!」


 舞鶴は叫び声に近い掛け声と共に、ポセイドンの胸部を開くとミサイルをほぼ全弾と言って良いほどに撃ちつくす。


 ポセイドン、最終奥義。


 しかし、真紅のギアは一気に後方に下がったかと思うと、ミサイルを器用に避けていく。


「くそっ!これでもダメか!」


 舞鶴は、ポセイドンを一気に上昇させると、自ら撃ったミサイルに当たることもいとわず、真紅のギアとの距離をつめる。


 しかし・・・右腕は壊れている。


 左腕もこの距離では振り上げることすら出来ない。


 ならば、取れる手段はただ一つ。


 ・・・・・・近距離でのミサイル発砲。


 ほとんど自爆だ。