「大丈夫ですよ。緊張もしていませんし、ポセイドンの調子は良好です。明日にでも出撃できますよ。」


 アトランテがその技術と予算を莫大に割いて作成したギア・ドール。


 ・・・・・・・・『ポセイドン』・・・・・・・


 全身を漆黒のボディに包み、全長18メートルは半年前に作られた敵国の最強兵器。『弁財天』に比べて、過去最高。


 にもかかわらずこの機体は寸胴であり、肩にはミサイルランチャー、両腕には誘導ミサイル。そして、両腕には計20万以上にも弾数があるマシンガンが二丁備え付けられていた。


 完全に遠距離に特化されたギア・ドール。


 近距離武器は存在しないが、これだけの巨体、『殴る』という単純な攻撃ですら、この機体には凶器だ。



 舞鶴が居たのは、そんなポセイドンのコックピットの中である。


 ・・・・射撃は苦手・・・・・・。


 彼に嘘を言ったのは、ただの気まぐれ・・・。


 いや、変にカンくぐられたくなったらだろう。


 まさか、私がこの全身大砲の機体のパイロットだとは思うまい・・・。


 てか、何でそんなことを気にするんだ?私は・・・。


「アハハ・・・はやる気持ちは分かるが、まだ我々は移動中だぞ。敵攻略施設の到着予定日はあと一週間後だ。それまでこの戦艦の中でゆっくり過ごしたまえ。」


 それだけ言うと、大尉は通信を切る。


 ようやく一人の環境になった・・・。