「もしかして、知ってるの?」


「・・・・・いいや。女性だろう?だったら知らない。」


 先ほどの体裁を保つために、そんな嘘でごまかしておいた。


 一応、知り合いに同じ名前で男性なら知っている。だから、驚いた。


 ・・・・・・・ってことにしておけば、先ほどの失態にもうまくつじつまが合わせられる。


「そっか・・・私の憧れ・・・って言ってもほぼ同期なんだけどね。そういう人だったんだよね。強くて、かっこよくて、芯がしっかり通っているって感じでさ・・・。」


 知っているさ・・・。


 三人の先輩たちはそれぞれが、そういう存在だった。


 華麗で、強く、気高かった、キラ先輩。


 温厚で、優しく、柔和だった、鈴蘭先輩


 寡黙で、厳しく、誰にも負けなかった、ケィ先輩・・・。


 彼らが揃えば、コノ腐った世界を壊してくれることも・・・この長く長く続く戦乱の世を終わらしてくれることもできるって・・・あの頃は本気で思っていたんだ・・・。


「見つかるといいな。」


 そんな言葉でまとめておいた。


「そうだね・・・。生きていればね・・・・。」


 そうだな・・・。


 できることならば、俺も彼女には生きていて欲しい・・・。


 だって、あの先輩たちがいれば・・・きっと、人外となった俺たちを許すはずなく・・・。







 そんな俺と百合を・・・迷うことなく殺してくれるだろうから・・・・・・・・・。