道中、舞鶴は語った。


 自分が14の頃、家族を虎神の兵士に殺されたと・・・。


 それは、口にするのもおぞましいほどのむごい殺され方で、そんなことをした虎神が許せなくて、自分はアトランテに入隊したと。


「だったら、どうして、俺を食事に誘ったんだ?」


 スラムの中にあるおしゃれな地下バー。


 光源といえば、薄暗い電球のみで店内に流れるジャズと、三つしか置かれていない小さな二人がけの丸テーブルが落ち着いた雰囲気をかもし出していた。


「お礼だって、言ったでしょ?」


 聞いた話によると、彼女の年齢は20歳。


 実は年上だったのだ。


 自分の年齢を知った舞鶴は『なんだ・・・敬語を使って損した』と言って、とたんに溜め口に変わった。


 この切り替えの早さは彼女の特徴なのだろうか・・・。


 女というのは、本当に理解できない・・・。