『ねぇ、キリト・・・』
不意に、百合が口を開く。
「ん?」
『あなたがね、ココに来る前に発見したんだけど、私の機体の下にね、百合の花が咲いていたの。』
・・・・・・・・何を言っているんだ・・・こいつは・・・。
『おそらく、コノ晴天と私の排気ガスの熱のせいだと思うんだけど・・・すごいよね。』
「ああ・・・そうだな・・・。」
『ねぇ・・・今日は私の誕生日なんだよ・・・知ってる?』
あぁ・・・。
「当たり前だろう・・・。」
12月24日・・・クリスマスイブ。
忘れるわけが無い。
彼女が生まれた日。
彼女がこの世に生を持った日。
『クリスマスとキリストは関係ないんですよ。』
ふと、前に聞いた整備士の言葉を思い出す。
・・・・・・・・だけど・・・・・・。
・・・・・・・・・たとえ、キリストが生まれてなくても・・・・・・・。
もし、その日に百合が生まれたのなら・・・。
・・・・・・・・俺にとっては特別な日であることは変わりない。


