【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ


『あら、何か用意してくれるの?』


「可能な限りなら・・・。」


『ありがとう、やさしいのね。』


「気まぐれだよ。」


『それでも、嬉しいよ』


 それは本当に嬉しそうな百合の言葉。


 身体も失い、視力を失い、そして、人としての尊厳すら失ったというのに・・・どうして、彼女はこのような声が出せるのだろうか・・・・。


「それで、お前は何が欲しいんだ?」


『身体!』


「無理だ!」


 即答した。


 そりゃ、俺だって上げられるものなら上げたい。


 だけど、彼女をギアに搭載させる決定権は自分ではない。


 所詮、伍長クラスでは彼女の管理ぐらいしかできないのだ・・・。


 ・・・・・・・情けない・・・・。


『なんだ・・・残念。』


 それは、百合の軽い冗談だったのかもしれないが、キリトの心の奥深いところと、グサりと、刺した。


 悪い・・・百合、俺だってできることなら、お前に身体を与えたいよ。


 それこそ、鈴蘭先輩が持った巨体ではなく、俺たちと同じ人間の身体を・・・。