『あら、何か用意してくれるの?』
「可能な限りなら・・・。」
『ありがとう、やさしいのね。』
「気まぐれだよ。」
『それでも、嬉しいよ』
それは本当に嬉しそうな百合の言葉。
身体も失い、視力を失い、そして、人としての尊厳すら失ったというのに・・・どうして、彼女はこのような声が出せるのだろうか・・・・。
「それで、お前は何が欲しいんだ?」
『身体!』
「無理だ!」
即答した。
そりゃ、俺だって上げられるものなら上げたい。
だけど、彼女をギアに搭載させる決定権は自分ではない。
所詮、伍長クラスでは彼女の管理ぐらいしかできないのだ・・・。
・・・・・・・情けない・・・・。
『なんだ・・・残念。』
それは、百合の軽い冗談だったのかもしれないが、キリトの心の奥深いところと、グサりと、刺した。
悪い・・・百合、俺だってできることなら、お前に身体を与えたいよ。
それこそ、鈴蘭先輩が持った巨体ではなく、俺たちと同じ人間の身体を・・・。


