【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ


『うん、また今度ね・・・。』


「あぁ・・・。」


 ドアまで歩み寄り、外に出ようとして、ふと足が止まる。


「そういえば・・・。」


『うん?』


「俺、明日から、外出許可が下りているんだよ。」


 別に報告することでもなかったが、何となく口にしてみた。


『明日からってことは、何日間かあるの?』


「二日だけだけどな。」


 それでも戦時下というコトを考えれば、破格の連休だ。


『それで?』


「あ・・・いや、百合、もうすぐ誕生日だったな・・・と思ってな・・・」


 もうすぐ・・・。


 12月24日・・・。


 それが・・・・・彼女の生まれた日・・・。


 ・・・・・・・・・・・『コノ日には奇跡が起こるんだよ』・・・・。


 昔、彼女が口にした言葉。


 旧世紀・・・人がまだ地上に暮らしていた頃・・・『クリスマス』という名のお祭り・・・。


 奇跡か・・・・。


 戦争が起こり、人が死に、家族を失い・・・そして百合がこんな姿になって・・・いったい、何の奇跡があるというのか・・・・。