∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜

 


「おまえはどうしてたんだ?」

ショコラは、僕に静かに聞いた。

「特に何も? オバサンのところにご飯をもらいに行く他は、雨を見ていたよ」

「おまえらしいというか……。相変わらず“のんき”でうらやましいな」


確かに僕は何かしていたわけではないけれど。

「だってカミナリとか、迫力があって、見ていても全然飽きないよ! 時々、青い光が地面に突き刺さるんだ」

それなりに毎日を楽しんではいたんだ。




「……」

ん? ショコラ?

「ショコラ、カミナリは嫌いなのかい? まさか、怖い……なんて事、あるわけ……」

僕と目を合わさない……?

「……いや」

ショコラはカミナリが怖いんだ!

ククク!

「何だよ、ショコラ! 意外と怖がりなんだな!」

僕はショコラが急に可愛らしく思えて、思わず笑った。



「うっさい!」

ついさっきまで調子がイマイチだと言っていたはずなのに、ショコラは全力で僕に飛びかかって来た。


僕も全力で公園中を走り、全速力で逃げた。