部屋にはシロと一緒に、女のヒトがいた。
「シロの母さんかな?」
シロのように色の白い、優しそうなヒトだった。
そのヒトはシロに、
「これで足りるかい? 早く働くとこ見付けるんだよ」
と言うと、何やら紙切れを手渡していた。
シロは
「どうも」
とぶっきらぼうに答えると、それを受け取りポケットに入れると、そのまま眠ってしまった。
そしてその様子を見届けたシロの母さんらしきヒトは、笑顔を浮かべる事もなく、静かに違う部屋へと消えてしまった。
それっきり、その空間だけ動きが止まってしまったかのようだった。
静かな家だな……。
僕は何だか奇妙な感じを抱いた。


