雨の降る日、シロは来ない。
本当に、ヒトは呆れるくらい雨が嫌いだ。
「今日はシロにお菓子をもらえないな」
お腹がすいた僕は、雨がやっとやんだ頃、窮屈なベンチの下から這い出して、オバサンのところにご飯をもらいに出かけた。
「あっクロちゃん、来たのかい? ちょっと待ってなよ。それにしても、おまえさんが来る日はいつも雨だねぇ?」
オバサンはすごく不思議そうに、そう言っていた。
けれど、僕には全く不思議な事ではなかった。
「ごちそうさまでした!」
ご飯をたいらげた僕は、オバサンに明るく挨拶をすると、今日はいつもと違う道を通って少し遠出をしてみる事にした。
いつもの道の1〜2本北側なだけなのに、全然風景が違う事に、僕はとても驚いた。
こういうのもやっぱり世間知らずって言うのかな……?


