僕は驚いて、

「こんな所でどうしたんだい?」

と聞いてみたけれど、子イヌはおびえて何も言えないでいる。


「大丈夫だよ!僕は君が怖がるほどの力を持ってないから」

僕は笑った。

するて、子イヌはポツリポツリと話し始めた。


「……僕、ママとニイチャンたちと向こうに見える塔の辺りで暮らしていたんだ。
 でも何日か前にニンゲンがやって来て、ママとニイチャンたちは何処かに連れて行かれてしまって……」


子イヌは今にも泣きだしそうだった。


だけど、それ以上に悔しいのだろう。


歯を食いしばって、我慢して耐えていた。