「見せたいものって?」 シロはぶっきらぼうにユウコサンに聞いた。 沈黙の中、ユウコサンはシロに1冊の本を手渡した。 「『オズの魔法使い』、ツヨシくん、知ってる? 昨日本棚の奥にあったこの本を見付けてね、久しぶりに読み返したの。大人になって読む童話って、感じ方が全然違うものね?」 シロは少し意外そうな顔をしていた。 「『オズの魔法使い』か……。聞いた事はあるけど、読んだ事ないな」 と言って、本の表紙を見詰めた。 栗色の髪の女の子とカカシとブリキとライオンのイラストが描かれていた。