部屋に着いて、電気を点けてから何気なく窓の外を見ると、大志くんがこちらを見上げていた。 私に気が付いた大志くんは手を振ってから自転車を走らせる。 「もしかして、部屋に着くのを見届けてくれたのかな……?」 朋くんだったら有り得ない行動。私が見送ってても、振り返りもせずに帰る人だから。 「ありがと」 何だか嬉しくて、私は小さくなった大志くんの背中に向って呟いた。