走り寄ると、大志くんがゆっくりと顔を上げる。
「実句さん……」
大志くんも殴られたかと思ったけど、少なくとも顔に怪我はしてないみたい。
「大志くんも、おじさんも、怪我はない?」
そう聞くと、力なくコクリ、と頷いた。
大志くんはまだ制服姿だった。家を飛び出してきたのか、結構冷えるのに上着を羽織っていない。
近くにあった自販機でホットココアを買って渡すと、大志くんが両手で缶を握り締めた。
私は黙って横に座る。
大志くんの表情を伺うと、握り締めた缶を見つめたまま、眉間にギュッと力を込めたり、逆にフッと虚ろ(うつろ)な瞳になったりしている。
――何て、痛々しい表情をしているんだろう。

