身分証が必要と言われたので、学生証でいいかと聞いたら、写真がないとダメと言われた。


写真付きの生年月日が印字された証明書を持っていなければ卒業アルバムを持って来てと言われたので、誕生日前でまだ17歳だった私は姉ちゃんの学生証と姉ちゃんの中学の卒業アルバムを持って正式な面接に行った。


顔が似てると良く言われるので疑われることもなく、すんなり通った。


引っかかっていたママはとても面倒見の良い優しい人で、すごく可愛がってもらえた。


私は久しぶりにキャバクラで働いて充実感を感じ、楽しいと思った。


1ヶ月くらいたった日、閉店後ママが私を呼んだ。


「あすか、またホスト行くの?」


顔を横に向けタバコの煙りを吐き出すママ。


答えに詰まっていると、それが肯定となる。


「ホストに行くなとは言わないし、自分で稼いだ給料の使い道をとやかく言うつもりはない。でも、自分の質を落とすのはやめなさい。あすかはハマってるホストに何を求めてるの?」


真っ直ぐに見つめるママの目が厳しく、私は思わず視線をそらす。


「え…。何も求めてない…。ただ、必要とされてるから…」


私はこんな風に曖昧にしか答えられなかった。