「ご報告がございます」


「……何だ?」

殿の顔はいつにもなく険しい顔付きでこれから私が何を言うのか知っておられるようだった。

「この数日間義高様を見た者はいないと言う事、それに大姫様が周りの様子を見ながら義高様の部屋に入って行くという事が確認しました。」


何も言わない、殿は必ず最後まで聞いてから口を開く方だ

だから私は報告をするさい余計な気遣いをしたくていい


「義高様が出てこない理由は風邪だと皆言っておりますが、薬師にかかった様子もないようで、食事においても姫様の侍女の吉野が持って行っているとの事…」