学園には私と同じくらいの子から高校生くらいまでが一緒に生活していた。
棟は幼児棟、小学生棟、中学生棟、高校生棟の4つに分かれていた。
私は幼児棟で生活することになった。

みんな仲良く遊ぶ中、私は入れずにいた。遊び方を知らないガキだったのだ。
そんな日々が流れる中、私を何度も誘ってくれる子がいた。

みんなは、その子を
“まーくん”と呼んでいた。
「一緒に遊ぼっ」
何度も何度も回りをウロウロされて うっとうしかった。仕方なくコクリと頷いた。

この時初めて覚えたのが“だるまさん”
いつも何となく見ていたから大体は分かっているつもりだった。
「今日は俺が鬼やる」
そう言ったのは まーくんだった。
みんなと同じ位置に並んで始まった。

「だぁるまさんが こーろんだ」
この後は動いてはイケナイ。でも初心者の私は上手く凍ることが出来ず
「あ 動いた」
その指と声が指すのは私。仕方なく鬼の所へ・・・。
何度か凍る、動くを繰り返す。みんな上手い。私と まーくんの近くまで・・・

「タッチ」
でかい声にビックリして逃げるのが遅れ 当然、次の鬼は私。
みんな なぜか笑っていた。そして また始まった。

「だぁるまさんが こーろんだ」
振り返ると みんな私の近くで変な顔をしていた。自然と笑い声が出た。
声を出して笑ったのは これが初めてだったような気さえする。

「あ 笑った」
みんな嬉しそうだった。

今でも みんなと集まると そんな頃の話を笑って話す。
私の中で 深く残っている大切な出来事の1つだ