甘い声で囁いて



「正直に言って..分からない..んです」


小さく呟いた声が車内に響く。


榊さんという人は何も話をせずに運転に集中してくれてる。


だからかすんなりと話をする事が出来た。



「あたし、本当に好きってどういう気持ちか分からなくて。でも加宮さんには
現実を見ろっていうんです。ちゃんと過去と向き合えって。逃げるなって。
あたしはそんな経験ないし。あ、でも響くんなら..。もしかして響君だから
あんなこと言ったのかな?」


「響君?」


「あたしの初恋なんです。ゲームのキャラなんですけど」


「ゲーム?」



少し驚いた顔をする柚子さん。


もしかして柚子さんはゲームした事無いのかな?



「楽しいですよ。ゲーム。それに響君カッコいいし」


「みゅうちゃん?」


「嫌な事も忘れられるし」


「みゅうちゃん、何か嫌な事あってゲームを始めたの?」


「え?」