甘い声で囁いて




漫画とか、小説でしか聞いたことはなかったのに。



こういう事って現実にあるんだ。



柚子さんから聞いたお話はどれもおとぎ話みたいで。



あたしはいつの間にか落ち込むことよりも


柚子さんの話に夢中に耳を傾けていた。



“今度はみゅうちゃんの事を教えて?”



柚子さんのような大した話ではないけれども


それでもいつの間にかぺらぺらと話をしている自分がいて。


今回の泣いた事も柚子さんに何の迷いもなく話てしまった。



あたしの話が終わると柚子さんは



「みゅうちゃん、その人の事、好き?」


優しい声。


この人に嘘は付けない。


そう思ったあたしは正直に口を開いた。