バイトじゃなくて、

レギュラーで働こうと思ったあたしは、

ひとつの店を絞った。



とりあえず、店の雰囲気を見てみたい。



夜の世界の女同士の確執なんかに巻き込まれるのはごめんだ。



そんなのをいっぱい見てきた。



表向きは、仲良く見えても、
裏は汚い。



指名とか、ノルマとか、そんなのがない店がよかった。




一つよさそうなところを見つけて、さっそく電話をしてみると、

今から来れる?と言われた。

電話応対もいいかんじだったので、すぐに店に向かった。





店につくと、優しそうなママが迎えてくれた。



まだ開店前で、女の子も客もいない。



『今日から働いてみる?』 



あたしは即、うなずいた。


しばらくすると、何人か女の子がやってきた。



『今日から入ってもらうことになったから、仲良くしてね』



ママに紹介され、隣で頭をさげると、



みんな笑顔で迎えてくれた。



そのとき、


『もしかして、結城ちゃんじゃなぃ??』



声の方を見ると、



『??』



えーと、



名前が思い出せない。



でも、高校のとき、寮で一緒だった先輩だ。



あたしが辞める前に、確か途中で、高校を辞めたんだった。



あっちはあたしの名前を覚えていてくれたのに、



なんと呼んだらいいかわからず、


『先輩!?』



とりあえず声をかけた。



確かなっちゃんって呼ばれてた…



思い出した…



なつみ先輩だ!!



高校ではあまりしゃべったことなかったけど、



あたしたちはその日から、


急速に仲良くなっていった。