出会いの高速道路

アイツはさぞ肝が冷えただろうな。

夜の高速道路、自分が暴行した女の子を見かけたら…そりゃ事故るな。

「…だからキミのお父さんはあんなに疲れていたのか」

「ええ。捜査は難航していた上に、母が気をおかしくしてしまったので。ならば動くのはわたしの役目でしょう?」

「警察は信用しなかったのか?」

「いいえ。ただ力不足なのは憎んでいます」

この高速道路を犯人が使うと分かっていても、特定するのは難しかっただろう。

「どうして…犯人がコイツだと分かった?」

「犯人の行動パターンを、詳細に調べたんです。いろいろな手をつくして、いろいろなパターンを考えましたよ。そしたらあなた達の働く特殊な部署を見つけたんです」

特殊、か…。

確かにそう言えるな。

思わず苦笑が浮かぶ。

こんな特殊な部署でなければ、ヤツも犯罪に走ることもなかったのかもしれない。

そして彼女にバレることも…。

「それじゃあ俺のことも候補にあがっていたのか?」

「最初の頃は。でもあなたは本当に仕事をしていただけです。調べたらすぐに分かることですよ」

「…そうだな」

そしていつも定時に帰っているコイツは、その後、犯罪を繰り返していたというワケか…。

「何度かこの人をつけていた結果、犯罪の現場を目撃して、間違いないことを確信しました。だから死んでもらったんです」

「まさに自業自得だな」

俺は失笑しながら立ち上がった。

膝のほこりを払い、聞こえてきた救急車の音を聞く。

「それでは、わたしの役目はここまでです」

彼女は俺に向かって微笑んだ。

「もう…二度とここを歩かないでくれよ?」

「分かっていますよ」

「あっ、それともう一つ」

「はい? 何でしょう」