俺の頭の中は真っ白だった。
ああ、そうだ。
久し振りに仕事で遅くなったんだ。
出先から本社に戻る途中で…例の高速道路を走っている時だった。
目の前に事故の現場があって、俺は慌てて車を止めて、救急車を呼んだ。
ケータイを切った後に気付いた。
彼女が、そこにいることに。
アイツの車は思いっきり壁に突っ込んでいた。
前の部分からは炎と煙が巻き上がり、壊れた運転席からは同僚の体が半分、出ていた。
多分もう…。
「…どうして、キミがいるんだ?」
俺はやっとのことで、彼女に声をかけた。
「この人だったんです。わたしの探している人」
彼女は無表情で、同僚を指さした。
「コイツが…キミに何をした?」
「わたしには何も。ただ、結婚間近だった妹を誘拐され、暴行され、捨てられただけです」
ああっ…!
俺は両膝を地面についた。
例の連続婦女誘拐・暴行事件の犯人は、同僚のコイツだったのか…。
「妹はショックで、自殺しました。三週間も前の話ですけど」
「…それで、復讐を考えたのか」
「ええ。警察の人も気付いていました。犯人の男がこの高速道路を使っていることを。なのでわたしがオトリとなり、歩いていたんです。妹の姿を真似して」
彼女はそう言うと、自分の赤い服を見て、一回りした。
「この人、この高速道路を使って、被害者達を誘拐し、各地に捨ててたんです。なのでここを何度も通れば、必ず事故を起こしてくれると思っていました。わたしと妹の顔は、似ていますから」
「似て…いたのか?」
「ええ、何せ双子ですから。もっともニ卵生ですが」
彼女は淡々と語る。
ああ、そうだ。
久し振りに仕事で遅くなったんだ。
出先から本社に戻る途中で…例の高速道路を走っている時だった。
目の前に事故の現場があって、俺は慌てて車を止めて、救急車を呼んだ。
ケータイを切った後に気付いた。
彼女が、そこにいることに。
アイツの車は思いっきり壁に突っ込んでいた。
前の部分からは炎と煙が巻き上がり、壊れた運転席からは同僚の体が半分、出ていた。
多分もう…。
「…どうして、キミがいるんだ?」
俺はやっとのことで、彼女に声をかけた。
「この人だったんです。わたしの探している人」
彼女は無表情で、同僚を指さした。
「コイツが…キミに何をした?」
「わたしには何も。ただ、結婚間近だった妹を誘拐され、暴行され、捨てられただけです」
ああっ…!
俺は両膝を地面についた。
例の連続婦女誘拐・暴行事件の犯人は、同僚のコイツだったのか…。
「妹はショックで、自殺しました。三週間も前の話ですけど」
「…それで、復讐を考えたのか」
「ええ。警察の人も気付いていました。犯人の男がこの高速道路を使っていることを。なのでわたしがオトリとなり、歩いていたんです。妹の姿を真似して」
彼女はそう言うと、自分の赤い服を見て、一回りした。
「この人、この高速道路を使って、被害者達を誘拐し、各地に捨ててたんです。なのでここを何度も通れば、必ず事故を起こしてくれると思っていました。わたしと妹の顔は、似ていますから」
「似て…いたのか?」
「ええ、何せ双子ですから。もっともニ卵生ですが」
彼女は淡々と語る。

