出会いの高速道路

翌日、眠い目をこすりながら本社に出社した。

「おはよ…」

「おはようさん。寝不足って顔しているな」

「まあな。お前は何だかスッキリした顔をしているな」

「ああ。それより眠気覚ましにコーヒーでも飲みに行くか?」

「そうだな…」

このままじゃ車に乗るのも危険だ。

「昨日、帰りが遅かったみたいだな。ご苦労さん」

上機嫌の同僚が、ブラックコーヒーを奢ってくれた。

本社の最上階にはカフェスタイルのレストランがフロアごと入っていて、そこは街並みが見下ろせて人気だった。

しかし今は仕事中。俺達のいる部署の人間以外はいない。

「あっ、そうだ。やっぱりウワサの女の子、幽霊じゃなかったぞ」

「ん? どういうことだ?」

同じくコーヒーを飲む同僚に、俺は昨夜のことを話して聞かせた。

「…ふぅん。キレイな女の子だけど、ちょっと頭のネジがゆるんでるのかね」

「そういう言い方はよせよ。…まっ、正常とは言えないがな」

「そういうのをイカレてるっつーの。てーかよく女の子に声をかけたな。恐ろしくはなかったのか?」

「現実感がありすぎなんだよ、そのコ。実際食堂の人だって対応してたし、生きた現実の女の子だよ」

「へ~。でもキレイなコなら、会ってみたいもんだな」

同僚の顔がイヤな表情になった。

「やめとけよ。30代になったんだし、そろそろ身を固めることを考えるべきだ」

「お前は真面目だなぁ。オレはまだ、遊び足りないぜ?」

同僚とは大学からの付き合いで、コイツは当時から遊び人として知られていた。

泣かされた女の子は数知れず。

そのままの勢いで、会社でも遊びまわっている。

コイツのせいで会社を辞めたコもいるぐらいで、さすがに上司が注意をしたら、最近は大人しくなったみたいだ。

…まっ、外で遊ぶようになっただけだが。