出会いの高速道路

「…あんな事件が起こっているんだ。探している人がいるなら、他の人に頼んでみるといい。探偵や警察とか」

「…それで見つかるなら、良いんですけどね」

そう呟いた彼女の声と表情は、ぞっとするほど冷たかった。

被害者達が捨てられる場所は各地転々。

この県でもあったことだし、近隣の県でもある。

あまりに範囲が広過ぎて、警察の混乱ぶりが目に見えるほどた。

しばらくは沈黙がおりた。

しかし1人の男性が店内に来たことで、彼女の表情が変わった。

「お父さん!」

「お前、またこんなことをっ…!」

父親は娘を見て、何故か安堵の表情ではなく、困惑の表情を浮かべた。

「この人が、わたしを保護してくれたの」

「あっ、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。この子がご迷惑をおかけしまして…」

「いっいえ、危ないと思ったので、保護したまでですから」

頭を下げられると、こっちが恐縮してしまう。

「それじゃ、お会計、よろしく」

彼女が笑顔で、伝票を父親に差し出した。

「分かった分かった。それでは失礼します」

「はい…」

父と娘はお会計に向かい、そのまま店を出た。

ガラス越しに見ていたが、父親はどこか疲れた顔をしていて、彼女は明るかった。

しかしいきなり彼女は振り返り、俺に向かった笑顔を見せた。

そして彼女の唇が何かを言った。

…でも距離がありすぎて、聞こえなかった。

だが父親には聞こえていたらしく、憤怒し、彼女の腕を掴んで行ってしまった。

何だ? 彼女は一体、何を言ったんだ?