出会いの高速道路

「お待たせしました! あっ、お水ありがとうございます」

彼女は美味しそうに水を飲む。

「お父さん、すぐに来てくれるって?」

「はい、でも30分以上はかかるって言われました」

「それじゃあその間、付き合うよ。キミを1人にするのは何だか危険な気がする」

「そうですか? ではお願いします。1人じゃ味気ないですからね」

会話をしている間に、注文の品が来た。

「結構美味しいですね♪」

「ああ、俺はよくここで食べるんだ。メニューはほとんど食べたかな」

「スゴイですね。お仕事でここの高速道路、よく使われるんですか?」

「ああ。本社勤めなんだけどね。いろいろお店を回らなくちゃいけなくて、ここの高速道路は毎日何回も使うぐらいだ」

「へぇ…。それって会社の人、ほとんどですか?」

「まあそうだな。俺の部署の人間はほとんど本社にいない。おかしな部署だろ?」

「移動好きな人にはたまらない部署ですよね」

「確かに。車が好きなら、たまらないね」

彼女と会話をしながら、食事を済ませた。

その後はお茶を飲みながら、談笑した。

「あっ、そうだ。キミはもしかしたら知らないかもしれないけど、最近、若い女性ばかり被害に合う事件が多発しているんだ。気をつけた方がいい」

「ああ…そう、ですね」

そこで店内に置いてあるテレビで、ニュースが流れた。

30ぐらいの女性キャスターが重々しくニュースを読み上げる。

内容は例の女性ばかりが被害に合うヤツだった。

新たな犠牲者が出たらしい。

被害者達に共通点はなく、ただ若くキレイなコばかり狙われるというウワサだ。

夜道を1人で歩いていると、いきなりライトを消した車が近付いてきて、突然車の中に引っ張り込まれる。

そして暴行を受けた後、見知らぬ土地に捨てられるという、残酷極まりない事件だった。

しかし女性達がさらわれた場所は各地転々としていて、次にどの土地で事件が行われるか分からないというのが、恐ろしい。