空を見上げると、雨は止んだけれどくもりのまま。

まるでわたしの心境そのままを表しているみたい。

わたしは彼の上着を手に取った。

「上着、ありがとね。ちゃんと洗濯して返すわ」

「うっうん。あの、さ」

彼は顔を赤くし、何か言おうとした。

けれどいきなり!

ざあっ…!

「きゃっ!」

「うわっ!」

突風が吹き荒れた。

天気本当に悪いな…。

でもうっすらと開けたわたしの目に映ったのは…桜の花びらがまるで雪のように舞い散る風景だった。

「あっ、キレイ…」

わたしの声に反応して、彼も眼を開けた。

「まるで雪みたいだ」

「そうね」

わたしは両手を広げ、上げてみた。

桜の花びらがわたしの手の上を通り過ぎる。

でもほんの一瞬、冷たい感触があった。

「えっ?」

白い桜の花びらにまざり降ってきたのは…まさか!

「雪!?」

驚いて空を見上げると、白い花びらと共に雪が舞っていた。

「ああ、久し振りだね。雪が降るの」

彼も嬉しそうに両手を広げる。

その様子を見て、わたしはたまらなくなって、彼に抱きついた。

「えっ! どっどうかした?」

泣き出しそうになるのを必死に堪えながら、わたしは言った。

「あなたのことがっ…好き」

「あっ…」

彼の体が一瞬、固まった。

けれどすぐに苦しいくらいに抱き締め返してくれた。

「うん。ボクもキミのことが好きだよ」

「…うん!」

涙目になりながら映った光景は、雲間から差し込む光を受けて、輝く彼の笑顔だった。