好きすぎた、たぶん。



「おぉ、可威じゃねぇか。」



男子トイレを出て戻ろうとすると、後ろからオッサンの声で名前を呼ばれた。



振り返ると、決して好きとはいえない社長がいた。



俺らの所属事務所のね。



「あぁ、おはようございます。」


「おはよおはよ。何お前何の仕事?」


「ファッション誌の取材っす。」


「あ~。」


「杉原(スギハラ)さんこそ、何の仕事っすか。」


「俺か?俺は仕事じゃねぇよ。咲の付き添い。」


「・・・へぇ。」