【完】とわの風、青空の君。

「あ、キュウちゃんじゃん」


丁度キュウちゃんの打席だったらしい。


キュウちゃんは、昨日のような力強い素振りを二度すると、バッターボックスへ入った。



一球目がキュウちゃんに向かって投げられる。


「ストラーイクッ!!」


審判が拳を天に向かって突き上げる。

キュウちゃんは打席から体を外し、ベンチの監督からのサインを確認している。

真剣な表情のキュウちゃん。



ドキッドキ・・・・・・。



あれ?

なんだか私も緊張してきた。


知らず知らずのうちに、握りしめた手の中には、汗がじんわりとにじんでいた。


二球目。


「ボール!」


キュウちゃんの足下に落ちるようなボール。

私はそれを見ながら、フウっと緊張をはき出すように息をはいた。


「打て・・・・・・!打て!キュウちゃん」


私は知らず知らずのうちに、キュウちゃんを必死に応援していた。