【完】とわの風、青空の君。

月曜日。


いい被写体がないかと、昼休みでにぎわう校舎内を、カメラを手にブラブラと歩いていた。


私は体育館に入るなり、汗をかきながらバスケをする、おとといのヒーローに目がとまった。


「あ、風子!」


「キュウちゃん」


笑顔で大きく手を振るキュウちゃんに、私も小さく手を振り返した。

大きく高鳴る心臓を少しでも隠したくて、大きく振り返えしたい手を小さく振ったのは、私なりの照れ隠しだった。


「ん?風子なにそれ?カメラ?格好いい!」


キュウちゃんが、私の胸元にかかるカメラを見つめながら尋ねる。


「うん。私写真部なの。文化祭で展示する写真を撮ってるんだ」


私は胸元に下がるカメラをキュウちゃんに構えて見せながら自慢げに答えた。