そう…―
あの記者の言ったことは間違ってない…―
「何で卵はダメなの?!」
「ダメなもんはダメなんだよ!」
オレも日和も…―
過去から逃げてるだけ…―
「でも愛里子はチンしかお料理出来ないもん!」
「だったら無理にしなくていい!オレがやる!」
このままでいいのか?―
「もーう!日和は何でスグ怒るの?!」
「お前がバカだから!」
「ひど〜い!」
いいわけないんだ…―
でも…―
「愛里子は記憶喪失なんだから色々忘れてるだけだもん!!」
「開き直るな!お前は記憶喪失の前に天然すぎんだよ!」
どうしたらいい…?―
日和と愛里子の痴話喧嘩を聞きながら、律壱は頬杖をついて空に問い掛けていた。
夏を迎える前の透き通った水色の空。
そんな空を彼女もまた見上げていた。
「先生、何をボーっとしてるんですか」
若いアシスタントの女の子がペンで弥生の頬をツンツン突いた。
「"先生"はやめてよ」
「でも先生は"先生"ですし」

