あの日…
いつものように、この街を歩いていた…―
可愛いロリータ服を着てる娘が羨ましくて…―
下を向いて歩いた…―
そして…
この店を見つけた…―
店の角が窓ガラスになっていて…―
そこから店内を覗いた―
『いらっしゃいませ』
店員さんが優しく微笑んでくれた…―
『あっ…あの…』
『お客様、見ない顔ね。うちは初めて?』
『はっ…はい…あの…』
『どうしたの? 緊張しなくていいのよ』
『あっ…あの、窓から…素敵な人形が見えたものですから…』
『ああ、これね』
店員さんは私を手招きして人形のある台へ導いてくれた…―
『私の娘が作ったの』
『…娘さんが?』
『今は留学してるわ。私に似て物好きなの』
『…はぁ……』
『このお人形は虹の女神なのよ』
『虹の女神…?』
『Irisって解るかしら?』
『イリス……あの、ギリシャ神話の?』
『そう。そこの冊子を開いてみて』
そう言われて…
私は、あの冊子を手に取った…―