日和はため息をつく。
突然の告白。
大人びた愛里子。
弥生への言葉。
頭の中がごちゃごちゃだった。
何故突然、こんなことになったのか、考えても答えは出ない。
妖精と名乗る愛里子と出会って数日。
記憶喪失と何か関係あるのか…?―
ふと、日和の目がある物を捕らえる。
ベランダに落ちている物。
日和はガラス戸の近くに落ちていたソレを拾った。
花の香がした。
表紙には汚い文字。
愛里子の手帳だった。
リビングに戻り、手帳を開く日和。
丸い文字が並ぶ。
帰りたくない―
今のままがいい―
愛里子は花?
違う―
愛里子は何の妖精?―
懐かしい―
日和が懐かしい―
でも同じくらい弥生さんが懐かしい―
苦しい―
好きで苦しい―
愛里子は誰?―
どこからきたの?―
ここに居たらいけないの?―
そう、いけないの―
戻らなければいけないの―
愛する人のために―
でも…

