「愛里子は…」
沈黙を破るように愛里子が口を開いたときだった。
ピーン…ポーン…
3人が一斉に玄関の方向を見る。
「弥生さんだ…」
日和が立ち上がった。
弥生…さん…―
愛里子の目が玄関に向う日和の背中を淋しそうに見送る。
律壱はそんな愛里子の様子を複雑な気持ちで見つめていた。
「遅くなってゴメンなさい…」
玄関から響く弥生の声。
愛里子は身を縮めた。
「あっ、律壱くんもいらしてたんだね」
大きな荷物を抱え、律壱に頭を下げる弥生。
「こんばんは弥生さん」
律壱は微笑んだ。
「愛里子ちゃん!具合が良くないって聞いたんだけど大丈夫?」
すかさず愛里子の元へよる弥生。
しゃがみながら愛里子の顔を覗く。
「……」
愛里子は弥生の顔を見ると眉をしかめて下唇を噛んだ。
「何か悩み事があったら聞くよ。日和くんに頼まれたの、女の子にしか解らない悩みもあるから」
「…日和に?」
「うん」
「日和…、弥生さんに愛里子のこと頼んだの?」
愛里子は律壱の後ろで不自然に立っている日和に尋ねた。

