「…別に、なんでもないよ」
微笑む愛里子。
「お前、具合は平気なのか?」
愛里子の顔を見れず、ぎこちなく話し掛ける日和。
「具合…?」
「朝、調子悪いみたいなこと言ってなかった」
「……」
律壱は不自然な2人の顔を交互に見る。
「日和…?」
「ん?」
「私が心配?」
「へ?」
愛里子のいつもより大人びた口調に、思わず日和は振り返った。
「…心配?」
改めて目を見て尋ねる愛里子。
「そっ…そりゃ、心配だよ…あんな風に倒れてたり…したら…」
「なんで?」
「なんでって…、具合悪そうな奴見たら誰だって心配になるだろ?」
「誰でも…同じ?」
「同じだよ。道で人がうずくまってたら、大丈夫かな?って普通は思うだろ」
「そっか…」
「そうだよ」
「特別な心配じゃないんだね」
日和はつばを飲んだ。
「…なんだよ…特別って」
目が泳ぐ日和。
律壱は2人の姿をただ黙って見守っていた。
カチっカチっと時計の秒針の音が部屋に鳴り響く。

