日和が立ち寄ったのは、海の見える広い公園だった。


公園といっても遊具があるわけではなく、お散歩コース的な道と芝生が広がっているだけで、昼過ぎのこの時間帯は人気が全くなかった。


日和はママチャリを停めると、芝生にキャップとサングラスを置いて準備体操を始める。

屈伸は分かるが、腕立てや腹筋などの筋トレも繰り返していた。



「シャ!」

急に掛け声を発する。



「ついてこれるものならついてこい…」


そう呟くと、日和は眩しい日差しの下を走りだした。

それは何かに取りつかれたかのように、ただひたすら風を切る。



ランニングというより、完全なるダッシュだ。


歯を食い縛って、筋肉のついた腕をブンブン振る。
足も高速回転だった。




波の音だけが心地よく聞こえる公園。


いつの間にか、ママチャリの位置から日和の姿は見えなくなっていた。










「…ひゃふぅ〜!」


意味不明な雄叫びを上げ、ゴールのポーズを決めながら、彼は走り終えた。



公園の端から端までを走りぬき、額は汗に濡れている。



「気持ち〜…」


日和はそのまま芝生に寝転んだ。