君の詩が色褪せても




違う自分になる…―




魂は…



違う器に宿る…―






心は…


心は…




行方不明のまま…―





「どこにいったの? 私の恋心…」




日和が呟いた。





「何?」



「いや…、なんか詞が浮かんで」



日和と律壱は海から少し離れた遊歩道を歩いていた。

ガタガタなタイルの道を自転車を押しながら歩く日和。



「変だよな、曲や詞って」

律壱が前を向いたまま優しく喋る。



「ピアノや机の前だと考えても出でこないのに、こうやって散歩してたり、風呂でくつろいでると降りてくるんだよな」



「律壱も同じか…」


「日和も?」



「パソコンや机の前で書くぞっ!って気でいると全くいい詞が思い浮かばないよ」



「作家はみんなそうなのかな?」

伸びをする律壱。



「今晩、弥生さんにも聞いてみれば」



カラカラカラとリズムよく音を立てて回る車輪。


もうすぐ海へ向かう太陽が優しいオレンジのヒカリで自転車を反射させる。

日和は眩しくて何回もゆっくり瞬きを繰り返していた。




「弥生さんか…」



律壱が呟く。