「おっ、おう」
「どした?顔、暗いぞ」
「そーか?…疲れかな」
日和はまたクッションに顔を埋めた。
表情を隠すように…。
「弱音、日和らしくないな…」
律壱は日和の頭を優しくポンポン叩いた。
その頃、愛里子はマンションのエントランスに居た。
「こんにちは」
愛里子が声をかけたのは、熱心に観葉植物の手入れをしている善さんだった。
「おー、こんにちはお嬢さん」
「キレイですね」
「お嬢さんは植物に興味があるのかい?」
「…よく解らないけど、多分好き」
愛里子は善さんの隣にしゃがみこんだ。
「多分?」
「愛里子、お花だった気がする」
小さな花を見つめ、優しく呟いた。
「お花だったかぁ、ワシも前世はたくましい木だった気がするよ」
目の横にシワをよせて笑いかける善さん。
「前世って何?」
「知らんのか?」
コクりとうなずく愛里子。
「前世ってぇのは、この世に生まれる前の別の姿のことじゃよ」
「生まれる前?」
「そう。ワシらは生まれ変わる前、今の自分とは違うものに魂を預けていたんじゃ」

