自転車にまたがる日和、そして後ろに愛里子が横向きで座る。
愛里子はギュッと日和に抱きついた。
思わずドキッとする日和。
「日和の背中、あったかいね」
……―
戸惑いながら、日和は無言で駐輪場の床を蹴った。
いつものように、しなやかな曲線を描いてマンションから出る自転車。
花の香りと潮の匂いが漂う道。
太陽に照らされて、今日も海はキラキラ輝いていた。
「キレー!」
愛里子が海のように目を輝かせる。
動く愛里子にバランスを奪われないように、日和は必死に自転車を走らせていた。
「ほら、降りろ」
愛里子がピョンと飛び降りる。
たどり着いたのは、2人が初めて出会った公園だった。
木陰に自転車を停めに行く日和。
愛里子はピョンピョンと芝生の上をうさぎのように陽気に跳ねる。
「走るぞ愛里子!」
日和はそんな呑気な愛里子の横をダッシュで走り去って行く。
「あっ、待ってよ日和!」
走りにくいロリータワンピで日和を追い掛ける愛里子。
誰もいない午前中の公園。
日差しだけが、やけに眩しくて芝がキラキラ光って見える。

