「……というかんじなの」


翌日、あーちゃんに昨日の出来事を全て話した。


理科室でのこと。

楓の印のこと。


そして何より……

“あの子”のことも。


すると、あーちゃんは眉を寄せて、あたしの顔を覗き込んだ。


「その桜田愛って子、なんか匂うわね」


「に、匂う?」


「絶対なんかあるわ」とあーちゃんは呟き、考えこんでいる。


あたしは特に何も感じなかったけど……。


ああいうことは、楓と付き合ってる限り、日常茶飯事なんじゃないかなぁ……。


「穂香と王子の仲を知っていたのよね?」


確かに愛チャンは、付き合ってるのかとあたしに尋ねた。


あたしはコクンと頷く。


「だとしたら、それしか考えられないわ」


「それしかって?」


すると、あーちゃんは真剣な表情を浮かべてあたしに言った。


「つまり、穂香と王子の仲を壊そうとしてるのよ」


あたしと楓の仲を壊す。

……それってどうゆうこと?


「その女、アンタか王子に酷い恨みを持ってるとしか思えないわ」


あーちゃんの予想はいつも当たる。


だから怖いんだ。


もし、あーちゃんの言ってることが本当ならば。


あたしはこの先、地獄を見ることになるかもしれない。