教室につくなり、一番後ろの窓側の席にカバンを放り投げた。


「はああああああ……」


憂鬱な原因は休み明けのダルさと奇妙な噂のこと。


その他にも、ありもしない噂を流されて、あたしはすでに全校生徒から白い目で見られていた。


その噂っていうのは……


“男狩りをしている”とか、“セフレが何人もいる”とか、不純な噂ばっかりだ。


一体何なのよ……。


そもそも、そんな噂される覚えもない。


買い物していたのは事実だから仕方ないけど、不純な異性関係なんてあたしにとっては無縁の話だ。



……まぁ唯一、原因と言えば楓とのくらい。


あたしと楓の関係に恨みを持ってる誰かのしわざだと思う。


楓は王子様だから。


あたしみたいな凡人じゃ不釣り合いだって思ってるのかもしれない。


だからって、そんな陰険なことしなくたっていいじゃないっ!


頬杖をついて、そんなことを考えながら不意に校庭を見たら現れた。


誰かって?


そんなの決まってる。



「きゃあああああっ!」


「王子ぃいいいい」


「あたしを抱いてぇえ」


プリンスのお出ましです。


女の子の黄色い声が、楓のまわりに響く。